オーストラリアでナチュラルワイン by Mauve Wine Co.

Sydney在住のワインコンサルタントによるナチュラルワイン(自然派ワイン)の話

Gentle Folk Wine from Adelaide Hills SA

ナチュラルワインをさらに楽しむための厳選用語 マセラシオン・カルボニック



どうも、Mauve Wine Co.りょーじです。

予告ではサウスオーストラリア編のヤウマの予定でしたがここで1度用語の説明を挟みます。ヤウマは次回に書きますのでよろしくお願いします。

さて、今日はナチュラルワインを楽しむための厳選用語の1つ『マセラシオン・カルボニック』です。ちょっと難しそうな名前ですよね?でも、この用語は実は日本の皆さんには結構身近なワインに関わる用語なんです。

※この記事は以前使用していたはてなブログで書いたのですがとても重要な用語なのでこちらの新しいブログにも載せたいと思い少し編集して載せてます。

マセラシオン・カルボニックって?

まず、マセラシオン・カルボニックとはワインの醸造方法の名前です。オーストラリア ではカーボニック・マセレーション(Carbonic Maceration)と呼びます。そして日本ではお馴染みの『ボジョレーヌーヴォー』に使われる醸造方法なんです。

ここで少しボジョレー(Beaujolais)の話をさせてください。オーストラリアワインのサイトなんですがマセラシオン・カルボニックを話す上で外せない事なのでちょっとお付き合いください。

まずボジョレーとはフランスのワイン産地の名前で主にガメイ(Gamay)という品種から造られるワインが有名です。世界的に有名なブルゴーニュ(Bourgogne)の南部にあり、リヨン(Lyon)の北側に位置します。

ちなみにボジョレーヌーヴォーのヌーヴォーとは新酒という意味です。つまりボジョレーヌーヴォーとはボジョレーで造られた新酒の事です。

フランス全体の地図から見るボジョレーの地図。有名なワインを数多く生み出す世界的な銘醸地であるブルゴーニュ(英語表記の地図なので日本で呼ぶBourgogneではなく英名であるBurgundy表記になってます。)の南部に位置する。

そしてボジョレーにはナチュラルワインを造るワイナリーが実は結構多いんです。そしてナチュラルワインの父と呼ばれるマルセル・ラピエール(Marcel Lapierre)もボジョレーの醸造家で、他にも世界中のナチュラルワインメイカーに多大な影響を与える有名な醸造家が数多くいる産地なんです。

ボジョレーの詳細な地図。北側にブルゴーニュのマコネがある。これだけ多くの地区に分かれていて、それぞれ違う特徴を持つワインを生み出す。

ガメイのワインは基本的にはジューシーでフルーティーなものが多いですがボジョレーは地区ごとの特徴も様々でボジョレーヌーヴォーのイメージを持って飲むと味わいもしっかりしていて複雑さも持ち合わせているワインも多く個人的にはとても好きな産地です。僕のいるオーストラリアでは近年ナチュラルワイン好きを中心に少しトレンドになっていてこだわりのあるお店を中心に見かけることが多くなりました。

オーストラリアを代表するガメイといえばヴィクトリア州はビーチワースのソレンバーグ(Sorrenberg)です。歴史もあり、ナチュラル好きの間ではとても有名です。そしてナチュラルワインを代表するワイナリーである南オーストラリア州はアデレードヒルズのルーシーマルゴー(Lucy Margaux)やオコタバレルス(Ochota Barrels)もガメイのワインを造っています。以前はほぼ見ることのなかったオーストラリア産のガメイですが最近は以前よりも目にする事も増えました。今後も少しずつですが増えていくのではないかと個人的には思っています。

どんな醸造方法なのか?

ではマセラシオン・カルボニックとはどういう醸造方法なのか?

簡単に説明してしまうとタンクにブドウを房ごと潰さずに入れて蓋をして密閉させ、二酸化炭素を満たした状態で発酵させて造る醸造方法です。

マセラシオン・カルボニックで発酵中のブドウ。これは滋賀県のひとみワイナリーでのもの。

では、もう少し掘り下げてみましょう。

普通のワインはブドウの実を房から外して潰した状態で発酵させます。一方マセラシオン・カルボニックはブドウは潰さず、房ごとタンクに積まれてその重さでブドウの実が下から自然に潰れゆっくりと発酵を始めます。

そして蓋をして密閉しているので発酵することによって発生(または注入)した二酸化炭素がタンクの中に充満した状態で発酵していきます。この特殊な発酵環境は独特な香りを生み出す事でも知られています。

そしてタンニンの元となる種の影響も少ないので、フレッシュな果実味がとても際立ち、果皮からの色はちゃんとワインに反映されたとてもジューシーでフレッシュ、色が鮮やかなワインとなるのです。

ジェントルフォーク(Gentle Folk)のヴァン・ド・ソファ(Vin de Sofa)。おすすめのマセラシオン・カルボニックワインの1つ。毎年のようにセパージュが違うワインで2019はピノ・ノワールとピノ・グリから造られている。

オーストラリアでのマセラシオン・カルボニック


僕の住んでいるオーストラリアでも全体量から見るととても少ないですが上でも紹介したようにマセラシオン・カルボニックをするワイナリーは意外とあります。特にナチュラルワインメイカーの間ではピノ・ノワールやシラーズなどで造られたものが多くあり、どちらもとてもジューシーなワインになります。

特にシラーズは本来タンニンがしっかりとしていて、若い時はとても硬いものが多いのですが、この方法で造るととても柔らかく飲みやすいワインが出来上がります。中にはボジョレーのようにヌーヴォーという名前を付けたワインもあり早飲みや冷やして飲む事を推奨していてグイグイ飲めるワインとして、近年ではそれを好む人も増えてきました。

オーストラリアを代表するナチュラルワインメイカーであるヤウマ(Jauma)のダンビー(Danby)はマセラシオン・カルボニックで造られたワインで原料は100%グルナッシュ。

ほとんどナチュラルワインしか飲まない僕にとってはとても身近なものなんですが、そうでない方にはほぼボジョレーのイメージしかないかもしれないマセラシオン・カルボニック。そのワインは結構試すとハマる人が多いので皆さんもぜひこの機会に挑戦してみてください。ボジョレーヌーヴォーにいいイメージのなかった方もその考えが変わるかもしれませんよ。

それでは今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。今後もワイナリーの話をしながらこういう記事も織り交ぜていきますのでまた読んでくださいね。

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Mauve Wine Co.のりょーじでした。

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