オーストラリアでナチュラルワイン by Mauve Wine Co.

Sydney在住のワインコンサルタントによるナチュラルワイン(自然派ワイン)の話

Gentle Folk Wine from Adelaide Hills SA

オーストラリアでの白ワインを考えてみた!

どうもMauve Wine Co.のりょーじです。

今日は前回のロゼに続いて白ワインのことを話してみたいと思います。

毎度の事ですがこれは僕の個人的な見解でソムリエ試験などの内容とは大きく違うかもしれません。現地在住でワインに関わる仕事をしながら、それなりにたくさんのワインを試飲している人間の意見として読んでみてください。

ブログの題名通り僕は基本的にはナチュラルワイン(自然派ワイン)推奨派で好みも特殊かもしれません。そして業界内で感じてることを言うだけなので、市場調査などで出る数字とは合わないと思いますのでその辺もご理解ください。

ではいってみましょう。

そもそも白ワインって?

©️Wine Folly

そんなの簡単、「白いワインでしょ?」「白ぶどうで造ったワインでしょ?」と思いますよね。

ワインって大体そんな感じでいいと思っているのですが、僕の場合は仕事上ある程度分類したり、説明の際に必要な違いをある程度知っておく必要があるんです。そして掘り下げてみると実は白ワインって結構複雑なんです。

まず白い(透明という方がいいかもしれませんがここでは白とします)ワインというのは間違いではないです。しかしある程度色づいたものも白ワインに分類されますのでそれだけでは無いということが言えます。結構透明なものから黄色がかったもの、うっすら緑のようなものや、すこーしピンクのものも基本白ワインと呼ばれています。

そして白ぶどうから造ったものというのも、それだけでは無いというのが当てはまります。全体量から言ったら少ないのかもしれませんが黒ぶどうから造った白ワインも存在します。よく知られているのはシャンパーニュのブラン・ド・ノワールですね。

西オーストラリア州グレートサザンにあるブレイヴニューワインのピノ・グリ

さらにロゼワインの記事でも触れているのですが、ピノ・グリは白ぶどうと呼ばないのでは?という問いも個人的にはあります。

また以前記事にしているオレンジワインは白ぶどうから造られるけど白くはないし、分類もオレンジワインとされることが多いです。そして色は白ワインっぽくてもスキンコンタクトをして果皮の味わいが出ているとオレンジワインと呼ぶ事も結構あるんです。

この辺は以前に書いた記事を参考にしてみてください。

オレンジワインの記事はこちら→https://mauvewine.com/orangewine/

ロゼワインの記事はこちら→https://mauvewine.com/rose-in-australia/

では白ワインとは一体?

©️Wine Folly

個人的な意見をまとめると白ぶどうの果汁から造られたワインプレスをせずに色がついていない黒ぶどうの果汁から造られたワイン。そして短時間のスキンコンタクトしかしていない白ぶどうから造られたワインもオレンジワインではなく白ワインと呼ばれることが多いと思います。

よくある熟成が進んだ黄色いワインもこう分類すれば白ワインになりますね。

あとは造り手がどう呼ぶかというのも一応付け加えておきます。スキンコンタクトのオレンジワインでもブランという名前をつける人もいるのでその場合はそれは白ワインになる場合もあるかと思います。

オーストラリアの白ワインにはどんな種類がある?

オーストラリアの白ワイン(実際は赤白問わず)は基本的にはフランス系の品種が中心です。シャルドネ、ソーヴィニョンブラン、リースリング、セミヨン、ピノ・グリが主な品種だと思います。

そのほかにはマルサンヌ、ルーサンヌやゲヴェルツトラミネール、ヴェルデーリョ、グリューナー・ヴェルトリーナーなどは上の品種よりは少ないですがそれなりによく見かけます。

そしてフィアーノやヴェルメンティーノはナチュラルワインの造り手を中心に最近では美味しいものが結構ありますし、ジュラ以外では珍しいサヴァニャンも少ないですがそれなりにあります。マスカット系も従来は甘い安価なワインになることが多かったですが、ナチュラルワインの中にはオレンジワインになることが多いですが美味しく香り高いものに出会うことができます。

オーストラリアの白ワインの特徴とは?

オーストラリアはやっぱり自由で多様なワイン造りが行われているのが大きな特徴だと思います。とは言えある程度産地ごとに代表する品種やスタイルはありますのでまずは一般的な白ワインの特徴を産地や品種の話を交えて話していきたいと思います。

そしてちょこちょこ僕の見解も織り交ぜてお話していきたいと思います。

ハンターヴァレーの辛口セミヨン

まず、最初に思い浮かぶのはセミヨンです。セミヨン?そんなメジャーじゃなくない?と思うかもしれませんが僕の住むシドニーから1番近いオーストラリアで1番歴史のある産地で知られるハンターヴァレー(Hunter Valley)ではとても重要な品種なんです。

ハンターヴァレーのセミヨンは多くが辛口で造られ、オーストラリアではとてもメジャーでハンターセミヨンというのは1つのブランドになっています。ハンターヴァレーに行くとほとんどのワイナリーで造られているくらい主要な品種です。

キリッとドライなものが一般的ですが、熟成させて黄色く変化したセミヨンもワイン好きには人気です。個人的には好きなものは少ないですが、歴史もありオーストラリア 、特にシドニーでは人気のあるワインの1つです。

ちなみに他のエリアに行くとほとんど見ることがないので、それも大きな特徴だと思います。

個人的に好きな造り手をあげるとハンターヴァレーのハーカムワインズ(Harkham Wines)がまず思い浮かびます。あまり好きなワイナリーのいないこのエリアでナチュラルワインといえば彼らがまず思い浮かびます。ハンターヴァレーを代表するセミヨンとシラーズを中心に栽培しながらも、他のワイナリーとは違うナチュラルなアプローチと酸化防止剤無添加はこのエリアでは特に貴重な存在です。

他の州で見ると南オーストラリア州(South Australia)のガイアーワイン(Geyer Wine Co.)はスキンコンタクトをしたオレンジワインですが、とても好きなセミヨンのワインを造ります。

セミヨンに関連することで言うと、西オーストラリア州(Western Australia)に行くとソーヴィニョンブランとのブレンドがとても盛んで、産地を代表するワインの1つとなっています。

ほとんどの産地で見られるシャルドネ

シャルドネはご存知の通り白ワインを代表する品種で、造られている産地もとても多いです。

もちろんとても重要な品種で、安価なものからプレミアムなものまで幅広いのはシャルドネの大きな特徴です。

代表的な産地で言うとヴィクトリア州(Victoria)のヤラヴァレー(Yarra Valley)やモーニントン・ペニンシュラ(Mornington Peninsula)がよく知られています。この2箇所はもちろん良いワインに出会えますが、個人的にはヴィクトリア州は全体的に良いシャルドネが多いと思っています。

主な造り手でいうと正直沢山いるので難しいのですが、ヤラヴァレーのマック・フォーブス(Mac Forbes)、ボバーワインズ(Bobar Wines)、モーニントンペニンシュラのアヴァーニ(Avani)、ケリー・グリーンズ(Kerri Greens)。そしてピレニース(Pyrenees)のラッタ・ヴィーノ(Latta Vino)も好きなワイナリーの1つです。パトリック・サリヴァン(Patrick Sullivan)やジョシュア・クーパー(Joshua Cooper)などもナチュラルワイン好きの間では有名ですね。

西オーストラリア州のマーガレット・リバー(Margaret River)も有名なシャルドネの産地です。一般的に知られているワイナリーはシャルドネを売りにしているところが多くイメージも良く人気も高いです。このエリアのシャルドネで有名なワイナリーは大体老舗ワイナリーでナチュラルではないところがほとんどですが、ナチュラルでのおすすめももちろんあります。ドーミローナ(Dormilona)、ウォルシュ&サンズ(Walsh & Sons)そして同じ西オーストラリア州の最南部、グレートサザン(Great Southern)にあるブレイヴニューワイン(Brave New Wine)はぜひ試していただきたいワイナリーです。

そして忘れてはいけないのはタスマニア(Tasmania)です。本当に上質なものが多く、少量生産のワイナリーがほとんどで、ツートン(Two Tonne)  、ストニーライズ(Stony Rise)、ドクターエッジ(Dr Edge)などのナチュラルワインも含め、良いワインに出会える機会はとても多いと思います。

そして最近のオーストラリアのシャルドネは樽を使わないものが増えているという記事を何個もネットで見かけたのですが、これは少し誤解を与えそうなので自分の意見を言いたいと思います。

タンクで造るものは確かに多く造られていますし、それなりによく見かけます。しかしそういうものは、もちろん全てではないですが比較的安価でそんなに質の高くないものが多いと思います。おそらく全体の統計でいえば増加しているのかもしれませんが、良いものの中にはほとんどないというのが僕の印象です。

やはり美味しいワインを紹介したいですし、大量生産ワインのイメージを払拭したい僕としてはこれは知っておいてもらいたい事です。

ちなみに僕は絶対的に樽を使うことを推奨しているわけではありません。新樽率が高く、やたらと樽香の強いものは好きではありません。やはり古樽でほんのりするぐらいのものが美味しいです。

最後におすすめエリアにはしませんでしたがニューサウスウェールズ州にも魅力的なシャルドネはもちろんあります。まずはハンターヴァレーのエムアンドジェイ・ベッカー(M&J Becker)、ブルーマウンテンズでワインを造るフランクリー・ボブメイドディスワイン(Frankly, Bob made this wine)。そしてキャンベラエリア(Canberra)のマラルカワインズ(Mallaluka Wines)などは個人的におすすめするワイナリーです。

南オーストラリア州のリースリング

オーストラリア最大のワイン産地で有名なワイナリーが数多くある南オーストラリア州(South Australia)の白ワインといえばリースリングだと思います。

シャルドネも、もちろんたくさん造られていて評価の高いものもありますが個人的にはあまり印象にありません。しかし僕の大好きなアデレードヒルズ(Adelaide Hills)のナチュラルワインの造り手たちのシャルドネは別の話です。ジェントルフォークを始め、オコタバレル(Ochota Barrel)、ジ・アザーライト(The Other Right)、アーキテクツオブワイン(Architects of Wine)、など
彼らのシャルドネは別格です。

南オーストラリア州のリースリングといえばクレアヴァレー(Clare Valley)がよく知られています。しかし前にも書いたのですがクレアヴァレーのものの多くは個人的にはドライすぎて酸味を強く感じます。

それなら同じく優良なリースリングで知られるエデンヴァレー(Eden Valley)やバロッサヴァレー(Barossa Valley)の方がバランスがよく、とても好みのものが多いです。例えばスモールフライ(Smallfry)のリースリングは個人的には大好きなワインです。

そしてリースリングはナチュラルな造り手で見るとタスマニアや西オーストラリア州の南部にあるグレートサザン(Great Southern)キャンベラやヴィクトリアも個人的には好きなワインがたくさんあります。

タスマニアではシャルドネもおすすめだったツートン、ドクターエッジ、そしてブライアン(Brian)も注目のワイナリーです。グレートサザンではここもシャルドネでおすすめしたブレイヴニューワイン。キャンベラではマラルカやレイブンズワース(Ravensworth)、マダワインズ(Mada Wines)はとてもおすすめです。

みんなに人気のソーヴィニョン・ブラン

そしてメジャーな品種で一般的に人気が高いと言っていいソーヴィニョン・ブランは南オーストラリア州のアデレードヒルズが思い浮かびます。しかしオーストラリアで一般的によく求められているのはニュージーランドのものです。もちろん例外もありますが個人的にはあまり好きではありません。

そしてセミヨンのところで話したように西オーストラリア州ではセミヨンとブレンドされたものが有名です。

もうだいぶ前になりますがニュージランドのマールボロ(Marlborough)産のソーヴィニョン・ブランが高い評価を受けたことにより未だにオーストラリアでは人気が高いです。そしてそれが全てのような人がたくさんいるので業界というか僕の周りのナチュラルワイン絡みの人間は逆に嫌う傾向にあります。

とはいえもちろん美味しいものもあります。僕が思い浮かぶのはやはりアデレードヒルズ。贔屓にしてるジェントルフォークを始め、有名なルーシーマルゴー(Lucy Margaux)やマノン(Manon)も造っていますね。そしてヴィクトリア州のいくつかの産地でもいいワインに出会う事ができます。どちらもナチュラルワインで見るとたくさんの良いワインがあるエリアだと思います。

以前はあまり好きではありませんでしたが、酸の強すぎない果実味を持ったソーヴィニョン・ブランに多く出会えるようになってからは僕は結構好んで飲むようになりました。

ただし、ナチュラルではないものの多くはあまり好みではないというのが僕が持つオーストラリアとニュージーランドのソーヴィニョン・ブランの印象です。

©️Wine Folly

その他の品種

その他の品種ではピノ・グリは広く一般的な品種で、とても人気がありますが特にどの産地かというと少し考えてしまいます。どの産地というよりは造り手ごとに見て、いいものを造るワイナリーがあるなという印象です。

そして収穫の時期がかなりバラバラでスッキリしたものからしっかりしたものまでの幅がかなり広いというのもオーストラリアのピノ・グリの特徴かもしれません。基本的にスッキリしたものはピノ・グリージョ(Pinot Grigio)という名前で、しっかり目のものはピノ・グリ(Pinot Gris)という名前というイタリアとフランス両方の名前が使い分けられているのもオーストラリアの面白い点ですね。

また有名な赤ワインを多く造るバロッサヴァレーではマルサンヌとルーサンヌのワインで美味しいものによく出会える気がします。そんなに多い量ではないと思いますがしっかりとしたものが多くとても印象に残っています。

最後に

白ワインというテーマは広く、深すぎてまとめるのがとても難しいですね。言いたいことはたくさんあるのですが、長くなりすぎてしまうのでなるべく短くまとめてみました。

合わせて以前書いた「オーストラリアの主要産地の解説」の記事を前後編共に読んでもらうと、より僕の言いたいことが理解してもらえるかと思いますのでよかったら読んでみてください。

オーストラリアの主要産地の記事へのリンクはこちら→https://mauvewine.com/wine-region/

https://mauvewine.com/wine-region-2/

それでは今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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Mauve Wine Co.りょーじでした。

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