オーストラリアでナチュラルワイン by Mauve Wine Co.

Sydney在住のワインコンサルタントによるナチュラルワイン(自然派ワイン)の話

Gentle Folk Wine from Adelaide Hills SA

南オーストラリア編、旅の目的地その2。 ヤウマ(Jauma)のジェームス・アースキン(James Erskine)

どうもMauve Wine Co.りょーじです。

今日は南オーストラリア編の旅の目的地その2、ヤウマ(Jauma)です。

このヤウマへの訪問なんですが、醸造家であるジェームス・アースキン(James Erskine)が今回の訪問の約2ヶ月前にオーガニックのチェリーファームを購入し、そっちが今忙しいということなのでジェームスに会うためにワイナリーでは無く、彼の自宅兼チェリーファームを訪問することになりました。

ジェームスとは彼の自宅でワインのことやチェリーファームのこと、そして彼自身の話を聞かせてもらいました。しかし訪問した日は学期末で彼は子供達を迎えに学校に行かないといけないという事なのでワイナリーはヤウマのアシスタントで自身もボラチオ(Borachio)というワインを造っているマーク・ワーナー(Mark Warner)に案内してもらいました。詳しくは次の記事をお楽しみに!

辿り着くまでに一苦労。それもまた楽しい。

ヤウマのチェリーファームへの路地の看板。左奥に見えるのがチェリーファーム。鳥に食べられないように網で覆われている。

実は今回の訪問は急に予定を決めたので日にちは伝えていたのですが時間までは約束せずに現地に来たんです。この日はボトリングをする予定だから直接来たら良いとマークに言われていたのでとりあえずアデレード市内のホテルからアデレードヒルズに向かいました。そして細かい場所などはインターネットで調べればいいやと思っていたのですが、なんとヤウマの住所は地図アプリでは出てこなかったのです。(検索するとこのチェリーファームは見つかりますがここではワインは造っていません)

ですからジェームスとマークにメッセージををして住所を確認することにしました。少しするとマークから返信が来て、今日は湿度が高くてラベルが貼り付かないからボトリングは中止になったと伝えられました。そしてその後の予定を聞かれたのでサマータウン・アリストロジスト(Summertown Aristologist) というレストラン(アデレードヒルズの有名なレストラン。ここの事も改めて書きます。)で食事をすることを伝えたらそこで待ち合わせしようということになりました。

入り口には鮮やかなロゴとオーガニック認証の看板。閉園の札が掛かっていても訪問者はちょこちょこ来るそう(ここは自宅なので閉園の日のアポ無し訪問は遠慮しましょう)。ちなみに右側の赤レンガの家がジェームスの自宅。

その後、別のワイナリーを訪問するために移動をしていると電話がなりました。取ると「Hi Ryoji !! Welcome to South Australia !!」とジェームスからでした。子供を迎えに行くまでなら大丈夫だけどどうする?と言われたのですぐに彼のいるチェリーファームへと向かいました。

チェリーファーム。この反対側の斜面にも同じくらいのスペースに木がある。

日常の中で醸造家の素顔を感じる。

ジェームスの自宅のリビング。クリスマスも近いのでツリーが飾られていてオーストラリアの郊外の家の雰囲気が伝わる写真。都市部に住む僕としてはこんな家に住むのが本当のオーストラリアライフではないかと思い羨ましくなってしまう。

到着して電話すると笑顔のジェームスが出てきて、家の中へ招き入れてくれました。お決まりな挨拶を交わすとこれからランチにするけどどう?と聞かれたのですがこの後サマータウン・アリストロジストに行くことを伝えると、じゃあやめた方がいいねと彼は自分のランチを作り始めました。

世界でも人気の高いナチュラルワインを造り、オーガニックのチェリーも栽培している彼は自身の食事もオーガニックなものばかり、ほぼヴィーガンの彼はフライパンで野菜を炒めながら外に出て庭に無造作に生えているハーブを摘んできては刻んでフライパンの中へ放り込んでいく。そんな彼にとっては普通のことも僕にとってはとても魅力的に映りました。こうして出来た料理は少しだけ味見させてもらったのですが肉好きな僕でもとても美味しいものでした。

気になっていたチェリーファームの事。

ジェームス特製のハーブティー。このナチュラル感が本当に心地いい。

そして日本のどくだみ茶と庭のハーブ、そしてオーガニックの蜂蜜で淹れたお茶をいただきながら話が始まりました。(実は料理している段階でもだいぶ話していましたが)

まずは1番気になっていたチェリーファームの事。実は数ヶ月前にマークがシドニーに来た時に聞いていたのでとても気になっていたんです。

元々はブドウ植えるために買ったようなんですが、せっかく長い期間オーガニックで栽培をしてきた14種類、約2000本もあるというその木を失くしてしまうのは違うと思い、続けてみようと思ったそうです。(ブドウの木も今後違う区画に植えるそうです。)

しかし軽い気持ちで始めたら結構話題になりさくらんぼ狩りに来たい人の問い合わせなどで忙しくなってしまったそうです。そんな話を笑いながらしている時に彼の携帯に着信があり対応していると今度は家の電話の方に着信があり、思わずまた2人で笑ってしまいしました。そのどちらもチェリーに関する問い合わせで本当に忙しくしているのが簡単に見てとれました。

電話を切ったあと彼は「ジェームスが携帯で対応をしていると彼の家の電話が鳴ったって記事にするんだろ?」と冗談っぽく言っていたのですがこんないいエピソードは中々無いので本当に記事にさせてもらいました笑。

そんなヤウマのチェリーはサマータウン・アリストロジストでも使われ、アデレードのオーガニックショップにも並んでいてとても好評なんだそうです。今度そのお店でチェリーテイスティングをやるんだととても嬉しそうに話していたのがとても印象的でした。

そしてワインの話。

この絵はアシスタントのマークのワイン、ボラチオのラベルをデザインしているマークのパートナーであるアリシアの妹が書いたもの。

ヤウマのジェームスと1対1で約1時間半話していたのにチェリーだけではまずいですね笑?今までに彼から聞いたエピソードを交えて少しヤウマのお話しをしたいと思います。

僕が初めてヤウマのワインに出会ったのは2014年の2月にシドニーで行われたルートストック(Rootstock)というナチュラルワインのイベントです。1番印象に残っていたワイナリーの1つだったのでよく覚えてます。

初めてジェームスとお互い自己紹介をして会話を交わしたのはその2年後のルートストックで彼もよく覚えてるという話を今回しました。その年からは僕が働いているお店にもワインをシドニーに紹介する際はいつもジェームスかマークが立ち寄ってくれています。

ヤウマアデレードヒルズバスケットレンジというエリアにあります。バスケットレンジは彼らのようなワイナリーが集まっているのでオーストラリアのナチュラルワインの聖地のように呼ばれています。そしてヤウマはこのエリアだけではなくオーストラリアを代表するナチュラルワインを造るとても有名なワイナリーです。

ブドウは隣のマクラーレンヴェール(McLaren Vale)のものを使いワインが造られています。そしてその中でもグルナッシュとシュナンブランはとても重要な品種だとジェームスは言っています。

また、印象的なのはすべてのボトルが王冠で栓がされている事です。このスパークリング以外に用いることがとても珍しい方法は今現在の彼にとって1番良い方法なんだそうです。そんな彼の意見に同意して同じ方法をとるナチュラルワインを造るワイナリーは他にも結構あるんです。

そして今まで聞いたエピソードの中で最も忘れられないものは、彼はとても日本に感謝しているということです。

彼がヤウマとしてワイン造りを始めた頃はまだ知名度も低く思ったよりも売れていなかったそうです。そんな時期に日本に行った彼は東京のとあるお店である人(日本のナチュラルワインの業界ではとても有名なお店の有名な方です。面識が無いのでお名前は伏せます。)にとてもいいワインだから頑張って造り続けて欲しい、造ればなるべくたくさん買い取るからと言われたそうです。

当時、自分のやっていることに少し自信を持てていなかったジェームスはその言葉にとても救われ、今でもブレずに自分のワインを造り続けているのです。そういった経緯からその方にはとても感謝していて日本にもとても感謝の気持ちがあって特別な場所になっていると話してくれたことがとても印象に残っています。

また、彼がワインを造り始めた当時はこのエリアは大手のワイナリーからブドウを買い取ってもらっていたブドウ農家が契約を切られていて困っていたそうです。そんな時にヤウマのようなワイナリーがブドウを大手のワイナリーよりも高い値段で仕入れることによりこのエリアのブドウ農家たちは救われ今でも他のナチュラルワインの醸造家とも良い関係を持っているそうです。

本当に魅力的なナチュラルワイン醸造家。

ジェームス・アースキン(James Erskine)。彼の持つ空気感やとても優しい話し方などは1度会えば誰もが必ず引き込まれる。とても魅力的な人間だと会うたびに思ってしまう。

ナチュラルワインの造り手と話していると本当に印象的な話がいっぱいあります。ただ美味しいだけ、自然や身体に優しいだけではなくて、彼らの思いやワイン造りの裏側にあるエピソードがさらにワインを魅力的にしていくような気がします。

そして年に数回しか会わないし、そんなに付き合いが長いわけでもない僕のような相手にもとても親切にしてくれて自分のワインの話をとても嬉しそうに話してくれます。そんな彼らのワインが美味しくないわけがないと個人的には思ってしまいます。そしてそんな話を思い出しながら飲むワインは本当に格別だと心から思うのです。

皆さんにもこういう人間的にも素晴らしい醸造家が造る魅力的なワインを楽しんでもらえたらなと思います。

それでは今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。次回も引き続きヤウマの事ですが、アシスタントでボラチオのワインを造るマークとの話を交えて書いていきたいと思います。

続きの記事のリンクはこちらから→https://mauvewine.com/jauma-vol2/

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