マウント・ガンビア(Mount Gambier)の要注目ワイナリー、リムスワイン(Limus Wine)のカイアット・ディクソン(Kyatt Dixon)
どうもMauve Wine Co.のりょーじです。
今日は南オーストラリア州のマウント・ガンビア(Mount Gambier)の新星、Limus Wine(リムスワイン)のカイアット・ディクソン( Kyatt Dixon)の紹介です。
カイアットは以前の記事で紹介しました、既に世界中で注目されているアデレードヒルズ(Adelaoide Hills)はバスケットレンジ(Basket Range)のワイナリー、ジェントルフォーク(Gentle Folk)の造り手であるガレス・ベルトン(Gareth Belton)の義兄に当たります。
以前に書いたジェントルフォークのガレス・ベルトンの記事はこちらからどうぞ→https://mauvewine.com/gentlefolk/
ガレスと同じく元海洋学者
カイアット・ディクソンは義弟であるガレス・ベルトンと同じく元海藻を専門とした海洋学者という珍しい経歴の持ち主です。
彼はメルボルン(Melbourne)の東に広がるギップスランド(Gippsland)という最近ではかなり注目されているワイン産地にある海沿いの町、レイク・エントランス(Lake Entrance)の出身です。子供の頃から海を身近に感じながら育ち、今でも海の近くで生活したいというほど根っからの海好きです。
その後家族はメルボルンを挟んで反対に位置する有名な観光地であるグレートオーシャンロード(Great Ocean Road)にあり、オーストラリアの有名サーフブランドの発祥の地で知られる、サーフィンの町トーキー(Torquay)へと引っ越します。
そこでも海を身近に感じる生活は変わらなかったので、その後彼がメルボルン大学(Melbourne Univercity)に進み海洋学を専攻することは至って自然なことでした。
そして海洋学の博士号を修めた彼はその後もバヌアツ、カナダにおいて海藻の研究を続ける事となるのです。
ワイン造りの道へ
そして2015年の収穫からワイン造り、そして剪定までをジェントルフォークで過ごし、一気にワイン造りへと引き込まれる事となるのです。
転機となったのは2014年のことです。
海をこよなく愛するカイアットは天職とも言える海藻の研究を続ける事に対して少し疑問を持ち始めます。そして彼は義弟である当時アデレードヒルズのバスケットレンジでワイン造りをしていたジェントルフォークのガレス・ベルトンのことを訪ねます。
カイアットの造り手としてのキャリア
2015年のビンテージよりワイン造りの世界に足を踏み入れたカイアットはジェントルフォークでの過ごす時間と合わせて、フランスやイタリアのワイン産地でも経験を積みます。
そしてアデレードヒルズのバスケットレンジというエリアはオーストラリアが世界に誇るナチュラルワインの聖地のような場所でジェントルフォークの他にもルーシーマルゴー(Lucy Margaux)、ヤウマ(Jauma)など、今や世界中で人気のワイナリーが集まっています。
そんな環境の中、カイアットはガレスのみでは無くヤウマ(Jauma)のジェームス・アースキン(James Erskine)からの影響もかなり受けたと言います。
過去に書いたヤウマとジェームスの記事はこちらからどうぞ→https://mauvewine.com/jauma-vol1
→https://mauvewine.com/jauma-vol2/
そして経験を積んだカイアットは2017年よりジェントルフォークにおいて自身のワインであるリムスワインをスタートさせます。
カイアットのワイン
カイアットのワインは僕個人のイメージとしてはまだ模索中だなと感じます。2017年はジェントルフォークで造っていた為、品種はジェントルフォークでよく使われるものと同じで、スタイルもどこか似ているところがありました。
しかし、その中でもカイアットのワインは初ヴィンテージということもありどこか大胆で思い切りが良い印象で、ガレスのそれと比べると少し粗削りだけど、とても魅力のあるワインでした。
そして2018年にはサイダー(日本でいうシードル)も造り、ペットナット(ペティアンナチュール=瓶内で自然発酵させた微発泡性のワイン)も造り、ブレンドのロゼも造っています。
このように2017年と2018年では大きく造りが変わっているのです。それは色々と試しているのもあるのかもしれませんがもう1つ大きな理由があるんです。
マウント・ガンビアへの移動
2017年の収穫の後、カイアットはジェントルフォークのあるアデレードヒルズから南へ400km以上降ったマウント・ガンビア(Mt Gambier)へと拠点を移します。
マウント・ガンビアはとても厳しい気候で知られています。特に冬はとても寒く、風も毎日強い悪天候が続くエリアです。ワインにおいても素晴らしいワイナリーはありますが他の主要産地と比べると少し見劣りしてしまうような場所だというのが正直な印象です。
それではなぜカイアットはこの場所にやって来たのでしょうか?
なぜマウント・ガンビアなのか?
1つ目は彼がこよなく愛する海が近いということです。
海洋学者を辞め、ワインの造り手となることを選んだ彼ですがやっぱり海からは離れられないということでした。アデレードヒルズは山間の地形ですが実はそんなに海まで遠いわけではありません。
しかしすぐに見える場所にいたいということが彼にとってはとても大事なようです。僕も海が好きなのでとても気持ちはわかります。しかもオーストラリアの海なら尚更です。
2つ目はマウント・ガンビアにあるグッド・インテンションズ(Good Intentions)というワイナリーの造り手であるアンドリュー・バーチェル(Andrew Burchell)の影響が大きかったと言います
2014年のRootstock(シドニーで行われていたナチュラルワインのイベント。残念ながら現在は開催されていない。)でカイアットはアンドリューと出会い、すぐに意気投合したそうです。アンドリューのワイン造りやマウント・ガンビアの話は彼をそこへ導いたとても大きな理由だと教えてくれました。
カイアットの目指すスタイル
カイアットはジェントルフォークでの修行時代にフランスやイタリアでも経験を積んだのでそれらの国のスタイルの影響も受けています。
そしてワインはあまり決まったスタイルや既成概念のようなもので縛られるべきではなく、自由に造られるべきだというのが彼の考えです。
好きな品種(造りたいワインの品種)を聞くとシュナンブランとトレビアーノという珍しい答えが返ってきました。両方ともフランス、イタリアでは素晴らしいナチュラルワインを造る品種で、特にナチュラルの造り手にかかると大きな違いを生む品種です。
この2種類はまだオーストラリアでは栽培が盛んな品種ではないですが彼の中で目指す自由なワイン造りをこの2種類のブドウで造るものが彼の目指すスタイルなんだと思います。
おそらくまだその2品種はワインを作るところまで来ていないのでそれを見る日はまだ先になると思います。
しかし今までの彼のワインを見ている限り素晴らしいものを造ってくれる事に疑いはありません。そして今からその日が来るのがとても待ち遠しいです。その時はSNSやブログで必ず紹介しますので楽しみにしていてくださいね。
それでは今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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Mauve Wine Co.のりょーじでした。